2013年2月26日火曜日

[CEDEC 2011]日本人は,遠近法で風景を見ていなかった。9月8日の基調講演「情報化社会,インターネット

。ところが映像がアニメーションになったとたん,平面的なはずの日本画が立体的に見える。  猪子氏はこれらをもとに,遠近法が入る以前の日本人の目には,日本画は立体的に見えていたのではないか」と推測するのだ。 レイヤーとしての空間表現  「生命は生命の力で生きている」は,オブジェクト(この場合は3次元的に書かれた「生きる」という文字)に対し,視点がとても近い。一方,花と屍では広く空間を捉えている。この二つは同じ論理で作られているのだけれど,花と屍はレイヤーを使って描かれているように見える。  実際「花と屍」を見た人は,しばしば「すごくたくさんのレイヤーを使って描いていて,大変ですね」という感想を抱いたようだ。また猪子氏本人が冷静に作品を見直すと,やはりいくつかのレイヤーで描かれているように見えるという。  これはつまり「日本的な空間認識だと,近くのオブジェクトは立体的に見えるが,空間全体を捉えると,空間がレイヤーとして見えるのではないか」と,猪子氏は考える。「日本人は,空間をレイヤーとして見ていたのかもしれない。レイヤーに見えていたからこそ,逆に,空間をデザインするときにも,レイヤーとしてデザインしたのではないか」  レイヤーとしての空間表現として,ドラクエ10 RMT,猪子氏は禅寺の庭園を挙げた。ほとんどの日本庭園は,レイヤーでデザインされている。一方,西洋の庭園は遠近法でデザインされていて,一つの視点から見たときに非常に綺麗に見える」。  西洋人は空間がパースペクティブとして見えていたので,空間をデザインするときも遠近法に則ってデザインしたし,だからそうして作られた庭園は,移動するとしても奥行き方向への移動が前提になる。  日本人は,空間がレイヤーに見えていたから,空間デザインもレイヤーになる。そしてレイヤー式のデザインだと,DQ10 RMT,横方向に移動しながら鑑賞しても美しさが保たれるつまり「認識していた空間の違いが,人間のつくるデザインに表れる」のだと氏は結論した。 スーパーマリオとドラゴンクエストに見る日本画  さて,レイヤーで表現された空間が横方向への移動に強いというのは,ゲームでも発見できる。スーパーマリオのようなゲームはレイヤー式の背景を有している。  「これは,日本の伝統的空間美意識を,無意識のうちに受け継いでいたのではないだろうか。つまり,日本人が素直に横スクロールアクションをデザインできたのは,レイヤーでデザインすることで,少ない要素でも空間を認識できるということを,無意識のうちに感じていたのではないか」
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